
はじめに:地面を蹴るあの行動、実は意味がある?
散歩中に犬が後ろ足で地面を蹴ったり、引っ掻いたりする姿を見たことはありませんか?特に排尿のあとにこの動作をする場面は多く見られます。一見すると癖のようにも思えるこの行動、実は犬の本能的なマーキングの一つであり、肉球からの分泌物による情報伝達や体温調節といった、生理的な背景も関わっています。
本記事では、犬が「地面を蹴る・引っ掻く」行動の意味を、行動学と生理学の両面から掘り下げると同時に、飼い主の視点から見た実際の個体差や行動例についても紹介します。

・犬が地面をひっかく理由を知りたい
・肉球について知りたい
犬のマーキングとは何か?──おしっこだけじゃない
犬のマーキング行動といえば、一般的には「おしっこによる縄張り主張」をイメージされることが多いでしょう。しかし、それだけではありません。犬は足裏の肉球から分泌される匂い物質を地面に擦り付けることで、嗅覚的なサインを残しているのです。
このとき使用されるのが「エクリン腺(汗腺)」という器官で、主に肉球と鼻の頭に存在します。エクリン腺は、体温調節のための汗を分泌するだけでなく、微量ながら個体の情報を含んだ成分を分泌するといわれており、これがマーキングの一手段として機能しているのです。

肉球からの汗は体温調節にも役立っている
犬は人間のように全身で汗をかくことはできません。犬の汗腺は、鼻の頭と肉球に限られており、主な体温調節は「パンティング」と呼ばれる舌を出してハァハァと呼吸する方法で行われます。
しかし、パンティングだけでは対応しきれない場合、肉球から分泌される汗によって熱を放出し、体温の調整を図る仕組みになっています。肉球は、感覚を得るための重要な器官でもあり、地面の温度や質感、匂いを把握するための役割も担っています。
地面を蹴る行動の理由
犬が後ろ足で地面を蹴る動作は、マーキングの一環であることが多いですが、他にも複数の意味を持っています。
- 縄張りを主張するマーキング行動
- 排尿後の情報拡散
- 他の犬への威嚇・アピール
- 匂いを擦り付けて自分の存在を示す
- 体温調節の一環
- 愛情表現やリラックス時の無意識な動作
この行動は決して一様ではなく、犬の性格や環境、経験によって動機が異なる場合があります。
実例で見る個体差──3匹のチワワたち
以下は、実際に暮らしている3匹のチワワの行動例です。同じ犬種であっても、行動や性格は大きく異なることが分かります。
セント(オス・11歳)…ほっておくと永遠に蹴り続けます
セントはもともと気性が荒いタイプです。地面が土だとおしっこの後、ずっと蹴り続けています、土が乾燥していると土煙を上げながら蹴り続けています
- 地面を蹴る行動が非常に強い
- おしっこの後に延々と蹴り続ける
- 土の上だと特に激しく、土煙を上げるほど
- 気性が荒く、縄張り意識が強いタイプ

フォン(オス・6歳)…他の犬の蹴るしぐさをみたらそれを真似する
フォンは蹴る行為自体をあまりしない(見たことがないです)です。4歳位からなぜか急に散歩嫌いになったタイプ。外では吠えないけど、玄関や階段に気配を感じると猛烈に吠えます
- 地面を蹴る行動はほとんど見られない
- 他の犬が蹴っているのを見て真似をする程度
- 基本的に穏やかで、吠えるのは家の中だけ
- 散歩嫌いで外での行動は控えめ

リリー(メス・10歳)…ソファーやクッションにだけ足裏をこすり続ける
リリーは穏やかで基本的には、人にも犬にも吠えないタイプ。何故かわかりませんが、ソファーやクッションが相手の時に、すごいスピードで足裏をこすりつけます
- 愛情表現の一種とも捉えられる行動をよく見せる
- 地面ではなく、ソファやクッションに足裏を擦りつける行動
- 寝そべった状態から足を空中に蹴るしぐさをよく見せる
- 他の犬には興味を示さず、人にだけ関心を持つ

🧾用語・行動・機能の整理表
用語・行動 | 内容・説明 |
---|---|
マーキング | 匂いを用いて縄張りや存在を示す行動。尿・足裏の汗などを利用。 |
肉球 | 犬の足の裏にあるクッション部位。感覚器としての役割も持つ。汗腺(エクリン腺)が集中。 |
エクリン腺 | 汗を分泌する腺。犬では鼻と肉球のみに存在。主に体温調節と匂いの拡散に関与。 |
パンティング | 犬が口を開けて舌を出し、ハァハァと呼吸することで体温を下げる方法。 |
地面を蹴る・引っかく | マーキング・自己主張・情報拡散・愛情表現・無意識的な反応など、複数の意味がある。 |
個体差 | 同じ犬種でも性格・経験により行動の出方が異なる。 |


おわりに:個性を理解することが犬との共生の第一歩
犬の行動には、本能に基づく深い意味と個体差によるユニークなパターンが隠れています。とくに「地面を蹴る・足裏を擦る」といった行動は、単なるクセではなく、マーキング、体温調節、感覚表現といった複雑な機能が絡んでいる可能性があります。
犬の行動を観察し、理解することは、彼らとより良い関係を築くための大切な第一歩です。そして、それぞれの犬の個性に目を向け、尊重することこそが、飼い主としての最大の役割かもしれません。
チワワでも攻撃的・穏やか・よく吠える・全く吠えないなど、固体によってバラバラです。よくいう日本人だから東京出身だからとかと同じで、大きな傾向はあるけれど、個人個人では全くバラバラなのと同じですね。チワワだから〜だよねって話もよく聞きますが。個体差も大きいです。私のところのチワワ3匹でマーキングや縄張り意識だけをみてもかなり差がありました。個人的な統計も含まれていますが、チワワに興味がある人の参考になれば幸いです!