【保存版】犬の悩み10選|吠える・噛む・地面を蹴る…行動の意味と対処法
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目次

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第1章:吠える(無駄吠え)|理由と正しい対処法

吠えるのは犬にとって自然なこと

犬にとって「吠える」ことは、人間にとっての「話す」ことに近い自然な行動です。
しかし、必要以上に吠え続ける「無駄吠え」が起こると、飼い主や近隣にとって大きなストレスになります。
まずは、犬がなぜ吠えるのかを理解することが、改善の第一歩です。

主な吠える理由とその心理

吠える理由背景にある心理・状況
警戒   玄関のチャイム、人の気配に反応して危険を知らせようとする
不安   飼い主がいない、環境の変化が怖い、知らない場所にいる
要求   遊びたい、ごはんがほしい、散歩に行きたいなどの要求を伝えている
退屈   十分に運動や刺激が与えられていないことで、吠えることで暇つぶしをしている
恐怖   花火や雷、見慣れない物音に反応して「怖い」と訴えている

吠え方でわかる犬の気持ち

犬は、声の高さ・吠える間隔・吠える時の表情やしっぽの動きなどで気持ちを表現しています。
たとえば:

  • 高くて連続的な吠え → 興奮や要求
  • 低くうなるような吠え → 警戒・威嚇
  • 一声だけ吠えてすぐ止める → 驚いた、注意を引きたい

こうした違いを観察することで、**「何を伝えたいのか?」**を推測できます。

無駄吠えをやめさせるための対処法

1. 吠えの「原因」を見極める

行動の直前や周囲の状況を観察し、何がきっかけで吠えているのかを把握します。
原因に合った対応をすることが、最も効果的です。

2. 吠えに「反応しない」ことが大切

要求吠えに反応してしまうと、「吠えれば言うことを聞いてもらえる」と学習してしまいます。
無視する勇気と、吠えていない時に褒める習慣を身につけましょう。

3. 十分な運動と遊びの時間をとる

運動不足は、ストレスや退屈による無駄吠えの大きな原因です。
1日2回の散歩に加えて、**頭を使う遊び(知育トイなど)**も取り入れると効果的です。

4. 「吠えないトレーニング」を取り入れる

吠えた瞬間に軽く注意し、吠えやんだらすぐに褒めてご褒美を与えます。
この繰り返しで、「静かにしていると良いことがある」と覚えていきます。

5. 怖がりな犬には安心感を与える

恐怖や不安から吠えている場合は、叱らずに安心できる環境づくりが先決です。
音に敏感な犬には、防音対策やBGMの活用もおすすめです。

それでも吠えが止まらない場合は?

  • 行動が急に始まった場合 → 体調不良やストレスのサインの可能性も
  • 長期間改善しない場合 → ドッグトレーナーや獣医師に相談を

愛犬の吠えには、必ず何かしらの「理由」があります。
叱る前に、「なぜ吠えているのか?」を冷静に見つめ直すことが、飼い主としての第一歩です。

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第2章:噛む|甘噛みと本気噛みの違いと正しい対応

「噛む」にもいろいろある

犬が「噛む」と聞くと、攻撃的で怖い行動のように感じるかもしれません。
しかし、すべての噛みつきが悪意によるものではありません。
**甘噛み(あまがみ)から本気噛み(攻撃的な噛みつき)**まで、意味や原因はさまざまです。

甘噛みと本気噛みの違い

噛み方特徴主な意味
甘噛み歯が軽く当たる程度、力は弱い遊びたい、気を引きたい、探索行動の一種(特に子犬)
本気噛み強い力で噛みつく、血が出ることも恐怖、防衛、怒り、ストレスなど強い感情の表れ

ポイント:噛む強さ・目つき・体の緊張などから、感情の違いを見極めましょう。

なぜ犬は噛むのか?主な原因と心理

1. 遊び・甘え(特に子犬)

  • 歯が生え変わる時期のむずがゆさ
  • 手を「おもちゃ」として認識してしまっている
  • エネルギーの発散が足りていない

2. 恐怖や不安

  • 知らない人に触られた時、身を守ろうとする
  • 逃げられない状況での「最終手段」として噛む

3. 怒り・嫌悪

  • しつこく触られた、嫌いなこと(爪切りなど)をされたとき
  • 執着しているもの(おもちゃ・ごはん)を取られそうになったとき

4. 体調不良や痛み

  • 急に噛むようになった場合は、病気や痛みが隠れていることも
  • 関節痛、歯のトラブル、内臓疾患など

甘噛みへの正しい対応

✕ やってはいけない対応

  • 強く叱る、大声で怒鳴る → 遊びと誤解されたり、恐怖心を強めることがある
  • 手を引っ込める → 狩猟本能を刺激してさらに噛みたくなる

◎ 正しい対応方法

  • 「痛い!」と短く言って遊びを中断(犬に「噛むと楽しくない」と教える)
  • 噛んでいいおもちゃを与える(噛む欲求を満たす)
  • 手では遊ばず、おもちゃを介して遊ぶ(手を「獲物」にしない)

本気噛みへの対応と予防

1. まず「危険な状況」を避ける

  • 無理に触らない、無理に奪わない
  • 噛みつきそうなときは静かに距離を取る

2. 犬の「ボディランゲージ」を読む力をつける

  • 目をそらす、体を硬直させる、唸るなど → 噛む前のサイン
  • この段階でやめれば、噛みつきは防げる

3. しつけ直しは専門家と一緒に

本気で噛む犬のしつけは、自己流では逆効果になることもあります。
経験豊富なドッグトレーナーや、獣医行動診療科のサポートを受けましょう。

老犬や病気の犬が急に噛むようになったら?

  • 認知症(高齢犬に多い)
  • 視力・聴力の低下による不安
  • 触られることが「驚き」に変わっている場合も

このようなケースでは、やさしく声をかけてから触る触れない時間を作るなど、
生活環境を整える工夫が必要です。

「噛む」は犬からのSOSかもしれない

犬が噛むとき、それは単なる「問題行動」ではなく、何かを伝えようとしているサインです。
叱るのではなく、「なぜ噛んだのか?」という原因を探り、それに合った対応をすることが重要です。

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第3章:地面を蹴る|マーキング?癖?その理由と対処法

「地面を蹴る」のはなぜ?

散歩中や排泄の後、犬が後ろ足で地面を蹴る姿を見たことがありませんか?
一見、なんの意味もなさそうなこの行動――実は、犬の本能と深い関係があります。

この「地面を蹴る行動」には、主に以下のような意味があると考えられています。

地面を蹴る行動の主な理由

1. マーキング(縄張り主張)

犬の肉球の間にはニオイ腺(アポクリン腺)があります。
地面を蹴ることで、自分のニオイを地面にこすりつけ、「ここは自分の縄張りだよ」と主張している
のです。

特に、以下のような場面でよく見られます:

  • 他の犬が近くを通ったあと
  • 排泄の後(おしっこ・うんち)
  • 見知らぬ場所での散歩中

2. 感情の表現(満足・高揚)

排泄が済んだあとに地面を蹴るのは、「すっきりした!」という感情表現のひとつとも考えられています。
一種の達成感や解放感の現れであり、リラックスしている証拠でもあります。

3. 他の犬への警告や自信の表れ

堂々と地面を蹴る姿は、「自分は強いぞ」と示すためのアピール行動でもあります。
特に自信のある犬や、他の犬が近くにいる場面で見られることがあります。

オス・メス・年齢による違いは?

  • オス犬のほうがこの行動は目立ちやすい(マーキング行動が強いため)
  • メス犬や去勢・避妊済みの犬も行うことはあるが、頻度や強さは個体差あり
  • 年齢を問わず見られるが、若い犬ほど活発に行いやすい

地面を蹴る行動に困ったら?対処法と注意点

基本的には止めなくてOK

  • 健康的なマーキング行動の一種なので、無理に止める必要はありません
  • むしろこの行動を通じて、犬が安心して外を歩けていると捉えることもできます

ただし以下のような場合は注意

  • 花壇や芝生を荒らしてしまう
  • 蹴り方が激しくて他人や他の犬に土が飛ぶ
  • 蹴ったあとに興奮して吠える・引っ張る

このようなときは、以下の対策が有効です:

  • リードを軽く引いて注意をそらす
  • 蹴る動作が始まる前に「おいで」などで呼び戻す
  • 他の犬や人がいない場所で排泄させる

蹴る行動が突然激しくなったときは?

  • ストレス過多、縄張り意識の強まりなどが考えられます
  • 行動が過激化した場合は、生活環境や散歩コースの見直しもおすすめです

まとめ:蹴る行動=悪いことではない

犬が地面を蹴るのは、本能・感情・社会性のあらわれです。
一見“変なクセ”に見えても、犬にとっては自然で大切な行動です。

飼い主としてはその意味を理解し、必要に応じて適切にコントロールすることが、より良い関係づくりにつながります。

第4章:しつこく舐める|愛情だけじゃない?考えられる理由と対処法

舐める=愛情表現? それだけではありません

犬が飼い主や自分の体をしつこく舐める行動は、かわいらしく感じる反面、
「なんでこんなに舐めるの?」「やめさせたほうがいいの?」と心配になることもありますよね。

実は、舐める行動には愛情以外にもさまざまな意味や原因が隠れているんです。

犬がしつこく舐める主な理由

1. 愛情・信頼の表現

  • 親犬が子犬を舐めるのと同様に、絆や安心感を伝える手段
  • 飼い主の手や顔を舐めるのは、「大好き」「安心してるよ」のサイン

2. 要求・注目を引きたい

  • 遊んでほしい、ごはんがほしい、構ってほしいとき
  • 舐めることで「飼い主が反応してくれる」と学習している場合も

3. ストレス・不安

  • 環境の変化(引っ越し、来客、留守番など)
  • 雷や花火などの音に怯えているとき
  • 口や足を同じ場所ばかり舐めるのは、不安を落ち着ける「自傷行為」に近いことも

4. 痛みや違和感

  • 傷口、皮膚のかゆみ、関節痛など
  • 舐めている部位がいつも同じ場合は、何らかの体の異常を示している可能性が高い

5. 認知症や癖(常同行動)

  • 高齢犬で多く見られる「意味のない繰り返し行動」
  • 特に何もないのに、延々と空中や自分の体を舐め続ける場合は要注意

よくあるケースとその対処法

【ケース1】飼い主の手や顔をしつこく舐める

考えられる原因:愛情表現、要求、クセ
対処法

  • 嫌でなければ受け入れてOK(ただし清潔に注意)
  • 舐めた直後に反応しすぎない(過剰な要求につながることも)

【ケース2】自分の足や体の一部を集中して舐める

考えられる原因:かゆみ、痛み、ストレス、皮膚疾患
対処法

  • 舐めている部分を観察 → 赤み、脱毛、湿疹があれば獣医の診察
  • ストレス要因(運動不足・生活の変化)を見直す

【ケース3】何もない場所を延々と舐め続ける

考えられる原因:常同行動、認知症、過度の不安
対処法

  • 高齢犬の場合は認知機能の低下も考慮して、専門医に相談
  • 環境を整えて、安心できる時間を増やす

舐めること自体は悪くない。でも「程度」が大切

犬にとって舐める行動は自然なものです。
しかし、以下のような場合は**「問題行動」や「体調不良のサイン」**として対処が必要です。

  • 1日に何度も、長時間、同じ場所を舐め続ける
  • 舐めすぎて赤くただれる・出血する
  • 飼い主に対しての舐めが過度で止まらない

このようなときは、「放っておけば治るだろう」とせず、早めの対応が大切です。

舐めすぎの予防・改善にできること

方法内容
生活の充実散歩、知育玩具、スキンシップでストレス軽減
注目しすぎない舐めたときに反応するとクセになる
舐めてはいけないものは対策舐め防止スプレーや、犬用の靴下・服を使う
原因不明な場合は獣医相談特に皮膚・神経・ホルモン系の病気が隠れていることも

まとめ:舐める=愛情だけじゃない。行動の「背景」に注目を

犬がしつこく舐めるのは、不安・体調不良・飼い主への信号など、多くの情報が詰まった行動です。
ただ叱るのではなく、「なぜ舐めるのか?」を見極めることが大切です。
日頃からよく観察し、愛犬の心と体の変化にいち早く気づける飼い主を目指しましょう。

第5章:家具や物をかじる|イタズラ?ストレス?破壊行動の本当の理由と対策

「またソファがボロボロに…」その行動、意味があります

犬が家具やリモコン、靴などをかじってしまうと、飼い主としてはガッカリしますよね。
でも、それは単なる“イタズラ”ではないことも多いのです。

まずは、犬が物をかじる理由を正しく知ることから始めましょう。

犬が家具や物をかじる主な理由

1. 退屈・エネルギー不足

  • 十分な運動が足りていないと、ストレスが溜まり、家具をかじることで発散します。
  • 特に若くて元気な犬、留守番が長い犬に多い行動です。

2. 歯のむずがゆさ(子犬期)

  • 生後3〜6か月の子犬は、乳歯から永久歯に生え変わる時期
  • 歯ぐきがかゆくて、家具や物をかじることで不快感を解消しています。

3. 不安やストレス(情緒的な要因)

  • 飼い主が出かけた直後に家具を破壊する場合、「分離不安」が疑われます。
  • 雷、引っ越し、家族の不在などもストレス原因になります。

4. 興味・探索

  • 犬は口を使って世界を探索する動物です。
  • 初めて見るもの・ニオイがするものに対して、かじって確認することがあります。

5. 学習された行動

  • かじった時に飼い主が反応したり、ご褒美をもらえた経験があると、「かじれば注目される」と覚える場合も。

かじっても良い物と、ダメな物の区別をつけるには?

【STEP1】かじる欲求を「正しい対象」で満たす

  • 噛んでもいいおもちゃやデンタルガムを与える
  • 犬の噛み癖・好みに合わせて素材を選ぶ(ロープ、ナイロン、ラバー等)

【STEP2】かじってほしくない物を物理的に守る

  • リモコン、スマホ、スリッパは犬の届かない場所に置く
  • テーブルの脚やコード類は**ビターアップルスプレー(苦味スプレー)**などでガード

【STEP3】かじった時の「反応」を工夫する

  • 叱りすぎると逆にエスカレートする場合もあるので注意
  • 無言でおもちゃに誘導し、おもちゃで遊んだ時だけ褒める

留守番中のかじり癖を防ぐには?

1. 留守番前に十分な運動をさせる

  • 散歩やボール遊びでエネルギーを使い切ってから留守番させると、落ち着きやすくなります。

2. 退屈しない仕組みを作る

  • 知育トイ(中におやつを入れるタイプ)を活用
  • 音楽やテレビをつけて、「無音」状態を避ける

3. ハウストレーニング

  • 安心して過ごせる「自分の場所」を用意することで、不安やストレスが軽減されます。
  • クレートやケージの中にお気に入りのタオル・おもちゃを入れておくと◎

こんな時はプロの手を借りよう

状況対応の目安
物をかじる頻度が異常に多い行動診療のある獣医師に相談
分離不安が疑われる(飼い主不在時のみ)ドッグトレーナーとの分離不安改善トレーニング
かじった物を誤飲してしまう早急に受診・誤食防止対策が必要

まとめ:「かじる行動」は愛犬からのサイン

家具や物をかじるのは、犬にとって自然な行動であり、心と体の状態を伝えるサインでもあります。
「かじられた!」と怒る前に、**なぜかじったのか?どうすれば防げるか?**を考えてあげることが、
より良い共生のカギになります。

第6章:散歩を嫌がる/引っ張る|歩かない・止まる・走る犬への正しいアプローチ

散歩=楽しい時間のはずが…うまくいかない理由とは?

「うちの子、散歩が大好きで走りっぱなし!」
「逆に、全然歩かない…すぐ止まる…」
犬の散歩に関する悩みは、真逆のケースが多いのが特徴です。

この章では、「散歩を嫌がる」「引っ張って歩く」両方のケースについて、
原因の分析と改善方法を具体的に解説します。

【A】散歩を嫌がる犬の原因と対応

主な原因

原因内容
環境への恐怖車・人・他の犬などの音や気配に敏感で怖がっている
トラウマ過去に外で怖い思いをした経験(他の犬に吠えられた、事故など)
体調不良足腰の痛み、関節炎、病気などがあると歩きたがらない
社会化不足幼犬期に外の環境に慣れていないため、刺激に過敏になっている

改善のステップ

  1. 外の環境に少しずつ慣れさせる
    • 最初は玄関前や家の前だけでOK
    • 短時間で切り上げ、「楽しかった」で終えるのがコツ
  2. おやつや声がけで「外は楽しい」と学ばせる
    • 歩いたらすぐ褒める、ご褒美をあげる
    • おもちゃを使って気を引くのも有効
  3. 無理をさせない・叱らない
    • 怖がっている犬を無理に引っ張ると、散歩=恐怖と記憶してしまう
    • リードは短く持ちすぎず、ゆったりと構える
  4. 体調に不安がある場合は獣医に相談
    • 散歩を嫌がる原因が痛みや病気の可能性もあるため、チェックが必要

【B】引っ張る犬の原因と対応

主な原因

原因内容
興奮しやすい性格外の刺激に対して我慢ができず、前に進みたがる
リードコントロール不足「引っ張れば進める」と学習してしまっている
運動欲求の高さエネルギーが有り余っていて、抑えがきかない状態

改善のためのトレーニング法

  1. “引っ張れば進めない”ルールを教える
    • 犬がリードを引っ張ったらその場でピタッと止まる
    • リードが緩んだらまた歩き出す
      →「引っ張っても進めない」と理解させる一貫した態度が重要
  2. “アイコンタクト”の練習をする
    • 散歩中に犬と目を合わせる習慣をつける
      →指示を聞く準備ができ、興奮を抑えやすくなる
  3. 運動量を増やす
    • 散歩だけで発散できない犬は、ボール遊びや知育玩具などで室内でもエネルギーを使うように工夫を
  4. ハーネスやリードを見直す
    • 引っ張り防止用のハーネス(フロントクリップタイプ)を使うと効果的
    • 体に合っていない器具は逆にストレスの原因になるので注意

散歩の質を上げる5つのコツ

工夫内容
ルートの変化毎日違う道を歩くことで飽きずに興味を引ける
クンクン(嗅覚散歩)を許すニオイを嗅ぐことで、精神的な満足感が得られる
人と犬の“ペース”をすり合わせる常にリードがピンと張っている状態はNG
散歩前に簡単なトレーニングを挟む落ち着いた状態で出発しやすくなる
「終わりの合図」を決める帰宅時に「おしまい」の声かけをすることで、習慣化しやすくなる

まとめ:散歩の悩みも「伝え方」のひとつ

犬が散歩で見せる行動には、性格・経験・体調など様々な要因が関わっています。
「引っ張るからダメ」「歩かないからワガママ」ではなく、
“何を伝えようとしているのか”を理解する視点が、問題解決の第一歩です。

第7章:トイレの失敗|なぜ外す?正しいトイレトレーニングとリセット方法

「ちゃんと覚えたはずなのに…」トイレの失敗はなぜ起こる?

子犬の頃に覚えたはずのトイレ。
それなのに、急に失敗が増えたり、まったく覚えなかったりすることもあります。
トイレの問題は、飼い主と犬の生活ストレスの原因になりやすい重要な課題です。

まずは、「なぜ失敗するのか?」という根本原因を知ることから始めましょう。

トイレの失敗によくある原因

1. トイレの場所が気に入らない・わかりにくい

  • トイレの位置が落ち着かない場所にある(人通りが多い・音がする)
  • トイレシートの素材やニオイが苦手
  • 複数の場所に設置して混乱させてしまっている

2. 体調不良や加齢による変化

  • 膀胱炎、下痢、関節痛などによって間に合わない
  • 高齢になると認知機能の低下でトイレを忘れてしまうことも

3. ストレス・環境の変化

  • 引っ越し、来客、家族の変化などで一時的に失敗することがある
  • 留守番中や飼い主の不在時に限って粗相をする場合は不安のサイン

4. トイレの合図が分かっていない

  • トイレをしたい時のサイン(クルクル回る・落ち着かないなど)を見逃している
  • トイレをした時に正しいタイミングで褒めていない

トイレトレーニングの基本ステップ

【STEP1】適切なトイレ環境を整える

  • 落ち着いた場所にトイレを設置(静かで通り道になっていない場所)
  • 子犬や老犬の場合はすぐ行ける距離に設置
  • トイレのサイズは犬が余裕を持って回れる大きさ

【STEP2】トイレのタイミングを見極める

  • 食後、起床後、遊んだ後、寝る前 → トイレに連れて行く習慣を
  • トイレの合図(くるくる回る・地面を嗅ぐなど)を観察してタイミングをつかむ

【STEP3】成功したらすぐに褒める!

  • 成功直後にごほうびを与えることで、「ここでしていいんだ!」と学習
  • できれば1〜2秒以内に褒める(時間が空くと伝わらない)

【STEP4】失敗しても叱らない

  • トイレの失敗を叱ると、「見られるのが怖い」→隠れて排泄という悪循環に
  • 無言で片付け、ニオイが残らないよう消臭スプレーで完全除去

一度覚えたのに失敗が増える時の対処法

ケース1:環境の変化があった

  • トイレの場所や生活リズムが変わったら、再トレーニングが必要
  • 犬は「場所」で覚えることが多いため、引っ越しや模様替えで混乱することも

ケース2:病気や老化のサインかも

  • 突然粗相が増えた場合は、膀胱炎・尿漏れ・関節痛などの可能性あり
  • 高齢犬は夜間や寝起きに間に合わないことがあるので、トイレの位置や段差に配慮

ケース3:飼い主の接し方に原因がある

  • 失敗のたびに怒られていると「こっそり粗相する」ようになる
  • トイレ中に見られるのを嫌がる犬もいる → 静かに見守る姿勢を

トイレの失敗を防ぐ実践テクニック

方法ポイント
トイレトレーの固定シートがずれると嫌がって外すことがあるため、滑らないトレーで固定
フロアマットで予防トイレの近くに防水マットを敷いて、失敗時の掃除をラクに
夜間・留守番中の対応ケージやサークル内にトイレをセットし、移動を最小限にする
成功体験の積み重ね成功のたびに褒めて「成功したほうが得」と思わせる習慣化が大切

まとめ:トイレの失敗は「叱るより、見直す」が正解

犬のトイレの失敗は、しつけの失敗ではなく、何かのサインであることがほとんどです。
叱る前に、環境や健康状態、飼い主の接し方を見直してみましょう。
「成功しやすい環境づくり」と「褒めるタイミング」が、トイレ成功への近道です。

第8章:唸る・威嚇する|怖い行動の裏にある感情と適切な対応法

「突然唸るようになった…」「近づくと威嚇される」

そんな経験はありませんか?

犬の唸り声や威嚇行動は、攻撃の一歩手前のサインとして、飼い主を不安にさせます。
しかし、犬にとって唸ることは「やめて!」という警告のコミュニケーション手段です。
叱る前に、その理由と背景を理解することが最も大切です。

唸る・威嚇する行動の主な原因と心理

1. 恐怖・不安

  • 初めて会う人、知らない犬、大きな音などが怖くて「これ以上近づかないで」と伝えている
  • 過去に似た状況で嫌な経験をしていることもある

2. 縄張り意識・防衛本能

  • 家の中で人が近づいた、チャイムが鳴ったなど、**「自分のエリアを守りたい」**という気持ち
  • 特にソファやベッドなど、自分のお気に入りの場所で起きやすい

3. リソースガーディング(所有欲)

  • ごはんやおもちゃ、寝床などを「奪われたくない」と感じて唸る
  • 特に褒められたことのある物、好きな人に関して強く反応する場合もある

4. 痛み・体調不良

  • 体に触られたくない理由が「痛み」の場合も
  • 急に唸るようになった場合は、関節、内臓、歯などの病気が隠れていることも

5. コミュニケーション手段として学習された

  • 唸ると相手が離れる(=自分の望みが叶う)と学習してしまっているケース

唸った・威嚇した時のNG対応

NG行動なぜ逆効果か?
大声で叱る犬はさらに恐怖を感じ、攻撃に発展するリスクがある
無理に近づく・触る警告を無視されたと感じて、本気噛みに至ることも
ケージやハウスに無理に押し込むハウスが「嫌な場所」になり、信頼関係を損なう
無視して「なだめる」まで待つ問題行動の強化(唸れば解決する、と学んでしまう)

正しい対応とトレーニング法

【STEP1】唸った原因を冷静に見極める

  • どんな状況で唸ったか(人?物?食べ物?)を詳細に記録
  • 対象物が明確なら、無理に近づかないことが第一歩

【STEP2】距離を取り、安心感を与える

  • 「今はそれ以上接触しないよ」という態度を示し、犬の安心ゾーンを確保
  • 興奮が収まったら声をかける(決して急に撫でない)

【STEP3】苦手な刺激に“慣らす”トレーニング(脱感作・拮抗条件づけ)

  • 例)ごはんを取られると唸る → お皿に近づいたらご褒美を追加する
    →「人が近づく=いいことがある」と関連づける

【STEP4】唸らなくても済む“逃げ道”を用意

  • ハウスやケージなど「安心できる避難場所」を確保しておく
  • 子どもや他のペットが近づかないようなゾーニングも大切

こんな時は専門家に相談を

状況相談の目安
唸る頻度・強さが増してきた行動カウンセラーや獣医行動診療科へ
特定の人物にだけ強く反応する社会化トレーニングや家庭環境の見直しが必要
唸った後に本気噛みしたことがある早急にプロの介入が必要です

唸りは「悪いこと」ではなく「最後の訴え」

唸る・威嚇する行動は、「これ以上は無理だよ!」という犬からのSOSです。
叱ったり押さえつける前に、まずはその原因を冷静に見極め、安心できる環境づくりと信頼関係の再構築を目指しましょう。

唸ることを許容しつつ、**「唸らなくても済む状況を整える」**ことが本当のしつけです。

第9章:食べ物への執着・盗み食い|拾い食いの危険性としつけのポイント

「食べ物を見せたら興奮が止まらない…」「一瞬でテーブルのパンが消えた!」

犬が食べ物に異常なほどの執着を見せたり、飼い主の隙を突いて盗み食いをすることはよくある悩みです。
しかしその裏には、本能的な欲求・過去の経験・しつけの影響が深く関わっています。
そして、中には命に関わる危険行動(誤飲・拾い食い)も…。

本章では、食べ物への執着の原因と、それを軽減するための具体的な対応策を解説します。

食べ物への執着の主な原因

1. 本能的なもの(特に多頭飼い・元野良犬)

  • 野生時代の名残として、「食べられる時に食べる」習性が残っている
  • 他の犬と一緒に暮らしていると「早く食べないと取られる」と感じやすい

2. 食事量・質の不足

  • 実際にカロリーや栄養が足りていない場合、常に食べ物を探すようになる
  • フードが合っていない、満腹感が得られにくいタイプである可能性も

3. 飼い主の対応による学習

  • 過去に盗み食いをして「叱られなかった」「成功した」経験がある
  • 落ちた食べ物をあげる習慣 →「落ちたもの=食べていい」と学習

4. ストレス・退屈の発散

  • 食べ物を探す・盗む行為そのものが“刺激”になってしまっている
  • 留守番が長い犬に多い傾向

5. 病気が原因の場合も

  • 異常な食欲がある場合、糖尿病、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群などの疑いも
  • 急に食欲が異常に高くなった場合は、動物病院での検査が必要

盗み食い・拾い食いの危険性

命に関わるリスクも…

  • チョコレート、ネギ類、ぶどう、キシリトールなどの中毒物
  • 骨・串・プラスチックなどの物理的誤飲による腸閉塞
  • 外での拾い食い → 毒エサ・農薬・薬剤の誤食の可能性も

対処法①:家庭内での盗み食い対策

方法ポイント
食卓・キッチンの管理テーブルには物を置かない、調理中はキッチンに入れない
届かない高さを意識する小型犬でもジャンプ力あり。カウンターキッチンなどは要注意
食べ物を落としたら即回収拾って食べる習慣をつけさせないためには“素早い対応”が肝心
食事中のしつけ「待て」「おあずけ」「ヨシ」のコントロール練習を日常から行う

対処法②:散歩中の拾い食いを防ぐ

【基本トレーニング:アイコンタクトと“NO”の教え方】

  1. 犬が何かに興味を示した時に「NO(ダメ)」で止める
    • リードを軽く引き、犬の注意を飼い主に向けさせる
  2. アイコンタクトが取れたら褒めておやつを与える
    • 「落ちてる物じゃなくて、人を見るとご褒美がもらえる」と学習させる

【実践的な工夫】

  • マズルガード(拾い食い防止用の口輪)を一時的に使う
  • 知育トイを使って食への欲求を他の行動に置き換える

対処法③:食べ物への興奮をコントロールする

状況対処法
ごはん前に大興奮する静かに座るまで“無視”して待つ → 落ち着いたら給餌
人の食事中に欲しがるサークルで待機、無視するルールを徹底
おやつを要求して吠える吠えた時にあげると「吠えればもらえる」と学習してしまうためNG

トレーニングの補助におすすめの方法

  • 「落ちてるフードはNG」トレーニング(擬似的に床におやつを置き、無視できたらご褒美)
  • クレートトレーニングで、興奮を鎮める安全な空間を作る
  • 定時給餌+満腹感のあるフードを選ぶ(高繊維タイプや満腹感設計の療法食など)

まとめ:食への執着はしつけ+環境管理がカギ

犬の食べ物への執着や盗み食いは、本能や習慣、心理状態の影響が複雑に絡み合った行動です。
怒っても逆効果になることが多いため、
「しつけ」と「環境づくり」を両輪で進めることが改善への近道となります。

第10章:夜鳴き・不安による行動|子犬・高齢犬・留守番中の不安対策と安心の工夫

「夜になると鳴き止まない」「留守番中に吠え続ける」

──これは、犬の“不安”からくる行動かもしれません。

犬は本来、群れで行動する動物。
そのため、一人きりの夜間や飼い主と離れている間に、不安から夜鳴きや問題行動を起こすことがあります。
まずは、「なぜ不安になるのか?」を年齢・環境ごとに見極めることが大切です。

年齢別:不安による行動の特徴と原因

【子犬の場合】

原因内容
分離不安初めて家に来て一人になることへの恐怖
慣れない環境音、ニオイ、寝床が安心できないなど
甘え・要求鳴けば来てくれる経験があると学習してしまうことも

【成犬の場合】

原因内容
急な環境変化引っ越し、家族構成の変化、模様替えなど
留守番時間が長い飼い主との分離にストレスを感じている
生活リズムの乱れ運動不足、夜間に眠れない生活習慣

【高齢犬の場合】

原因内容
認知症(犬の認知機能不全症候群)昼夜逆転、意味のない夜鳴き、徘徊などが出ることがある
聴覚や視覚の衰え環境認知が不安定になり、不安を感じやすい
痛みや不快感関節炎や内臓の不調などで夜間に落ち着けないことも

不安からくる行動の例

  • 夜中に吠える、鳴き続ける
  • ケージを噛む、掘る、暴れる
  • 飼い主が帰宅すると異常に興奮する
  • 部屋をウロウロ歩き続ける
  • トイレの失敗が増える(高齢犬)

夜鳴き・不安をやわらげる具体的な対策

1. 安心できる寝床環境を整える

  • ケージやクレートに屋根をつけて暗くする
  • 毛布・タオル・飼い主の服など、ニオイのあるものを入れて安心感を
  • 音に敏感な子には、ホワイトノイズや音楽を流すと落ち着くことも

2. 夜にしっかり運動・脳の刺激を与える

  • 昼間にエネルギーを使わないと、夜に元気が残ってしまう
  • 散歩+知育トイで体と頭の両方を使わせるのが効果的

3. 「鳴いたら来る」をやめる(子犬の場合)

  • 鳴くたびに構うと「鳴けば来てくれる」と学習する
  • 無視→鳴き止んだらそっと声かけやご褒美が基本

4. 不在時の不安対策(分離不安)

  • 出かける時・帰ってきた時に過度な挨拶をしない
  • 留守番練習は短時間→長時間へステップを踏んで慣らす
  • 知育トイやおやつを与えて「留守番=楽しい時間」と関連づける

5. 高齢犬の場合の特別な配慮

  • 夜間にトイレへ行きやすくする(段差をなくす・照明をつける)
  • 認知症の疑いがある場合は、獣医師に相談して投薬治療を検討
  • 昼間のリズム作り(光・音・遊び)で夜の混乱を減らす

専門家の力を借りるべきタイミング

状況対応
鳴き声が長時間続く・近隣から苦情が来ているドッグトレーナーによる行動改善プログラム
高齢犬の異常行動(徘徊、夜鳴き、食欲異常など)獣医行動診療科での認知症評価と治療
分離不安が深刻(破壊、粗相、吠え続け)行動治療+環境調整が必要になることも

まとめ:夜鳴きは「困った行動」ではなく「不安のサイン」

夜鳴きや不安行動は、犬からの「助けて」という心のサインです。
その原因は、年齢・環境・性格・体調など複雑に絡み合っています
叱るのではなく、安心できる環境と生活リズムを整えることが最も効果的な解決策です。

おわりに:犬の困った行動には、すべて理由がある

これまでご紹介してきた10の悩み――「吠える」「噛む」「地面を蹴る」から「夜鳴き」まで、
すべての行動には、犬なりの意味・背景・感情があります。

大切なのは、その行動を“問題”と決めつける前に、「なぜそうするのか?」を理解する姿勢です。

犬との信頼関係は、日々の観察と、小さな努力の積み重ねで深まっていきます。
そして、どうしても難しい時は、一人で悩まず専門家に相談する勇気も、立派な飼い主の行動です。

本記事が、あなたと愛犬のより良い関係づくりの一助となれば幸いです。

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